睡眠時無呼吸症候群(SAS)がもっとよくわかる話


睡眠時無呼吸症候群(SAS)の
いびきの発見・治療には
ご家族の協力が大切な話
目次
そのいびきは放っておいて大丈夫?まずは周りが気づいてあげること
いつも大きないびきをかいている、いびきがときどき止まって、苦しそうにしているなど、ご家族やパートナーのいびきが気になったことはありませんか。
そのいびきは睡眠中に無呼吸状態が繰り返される睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気のサインかもしれません。そのまま放置していると、昼間の強い眠気や疲れが抜けないなどの不調を感じ、日常生活に支障をきたすおそれがあります。
しかし、いびきは寝ているときのことなので、いびきをかいているのか、どんないびきなのか、本人は気づいていないことも少なくありません。ご家族やパートナーのいびきに気づいたら、いつものことだからと放っておかず、本人に伝えてみてください。
いびきは病気のサインかも。そんなときは、受診を勧めてみましょう
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんでは、呼吸が止まることによって酸素不足に陥るため、休息のはずの睡眠が、脳やからだに大きな負担をかけています。そのため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは昼間に強い眠気や倦怠感を感じたり、集中力が低下したり、日常生活にも影響することがあります。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は生活習慣病との関係も指摘されており、高血圧1)や糖尿病2)の発症リスクを高めることが知られています。
たかがいびきと考えず、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑い早めに受診することが大切です。本人はいびきを自覚していないこともあるため、ご家族やパートナーから受診を勧めてみましょう。
どんな検査をするのか、検査のために入院が必要なのかと、病院へ行くことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われたときの検査には、普段の睡眠時にいびきや呼吸の状態を調べる装置を装着する、自宅でできる簡易検査がほとんどです※。
ご家族やパートナーからの後押しが早期発見や早期治療には重要です。
※ 重症度などによっては、精密検査(入院検査)が必要になる場合があります。
治療は続けることが大切!周りの方にサポートしてほしいこと
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療の基本は、生活習慣の改善です。例えば、肥満がある患者さんでは、首やのどの周りの脂肪によって気道が狭くなっています。ですので、肥満の予防や減量を目指して、食事や運動などの生活習慣の改善を行います。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、高血圧などの生活習慣病と同様に治療が長期にわたるため、本人の努力だけでなくご家族やパートナーのサポートが大切です。食事や運動習慣について、ご家族やパートナーも一緒になって見直してみましょう。
また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法にはCPAP療法(持続陽圧呼吸療法と呼ばれ、睡眠中の無呼吸を防ぐために、鼻に装着したマスクから空気を送り続け、気道を広げる治療法)やマウスピース(下顎を上顎よりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保つ治療法)、外科的手術(気道を塞ぐ部位を取り除く治療法)などがあります。
これら治療法のうち、CPAP療法やマウスピースでは毎晩寝るときに装置や口腔装具を身につけるのですが、例えばCPAP療法では、ご家族からの声掛けが治療を続けるモチベーションを高め、装置の使用の習慣化につながるといわれています。
引用文献
1)Marin JM, et al. JAMA. 2012; 307: 2169-2176.
2)Lindberg E, et al. Chest. 2012; 142: 935-942.
いびきに関するよくある質問
家族に寝室を別にされるくらいいびきがひどいです。睡眠時無呼吸症候群(SAS)でしょうか? いびきや眠気がなければ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではないですか? いびきは病気ですか?いびきをかくこと自体が身体に悪いのですか? いびきをかきやすい体型、骨格はありますか? いびきをかきやすいかどうか、自分でチェックする方法はありますか?