睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招く合併症 心臓病(心疾患)
心臓病(心疾患)との合併は、命に関わる問題
厚生労働省が発表した、「令和5年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、心疾患(高血圧性を除く)は死因順位の2位(14.7%)とされています。それだけ命に関わるリスクの高い病気ですが、心疾患もまたSASと合併しやすいことが分かっている疾患の1つです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不整脈
重症のSASでは発生頻度が4倍以上との報告も
不整脈とは、脈のリズムが乱れること。
脈が不規則に刻まれるもの以外に、異常に速くなる脈(頻脈)や、逆に遅くなる脈(徐脈)も不整脈です。
筋肉でできている心臓は、電気刺激によって全身に血液を送り出すポンプの役目を果たしています。刺激伝達経路が何かに障害されて電気刺激が心臓全体に伝わらない、または電気刺激そのものが発生しないと、ポンプとして正常に機能しなくなり不整脈を起こします。
不整脈の一種である「心房細動」は、「心房」という心臓を構成する部分が異常な電気刺激を受け、十分に収縮できない状態になること。
日本でもたくさんの患者さんがいることが知られていますが、SASとも関連があることが明らかになっています。
ポリソムノグラフィー(PSG)検査を受けた心房細動の既往歴のない3,542例を対象にした研究では、心房細動の発症頻度がSASを合併していない場合で2.1%、SAS合併の場合で4.3%と、2倍以上もリスクが高いことが報告されています※1。
閉塞性タイプ566例を対象にした別の研究では、1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数の平均値が42である重症SASの場合、SASではない群に比べて夜間の心房細動の発生頻度が4倍以上高かったとも報告されています※2。
(海外データ)
※1 Gami AS, et al: J Am Coll Cardiol 2007; 49(5): 565-571.
※2 Mehra R, et al: Am J Respir Crit
Care Med 2006; 173(8): 910-916.
睡眠時無呼吸症候群(SAS)との合併症に要注意
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・治療には健康保険が適用されます