[睡眠時無呼吸症候群(SAS)が招く合併症] リスク3.3倍
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と脳卒中
脳卒中の発症リスクが3.3倍に
脳卒中は、日本人において癌、心臓病、老衰に次ぐ死亡原因とされています。脳の血管が狭窄して詰まったり(脳梗塞)、血管が破れて出血したりする(脳出血)病態ですが、脳血管の損傷により発作の後遺症として麻痺や言語障害が生じるケースもあり、寝たきりの原因疾患としても重要視されています。
1,022例を対象にした約3年間の追跡研究の結果によると、SASの重症例では脳卒中・脳梗塞発症リスクが3.3倍になることが報告されています(※1)。
SASは脳梗塞・脳出血などの発症リスクを高めやすいだけでなく、その後の機能回復にも影響を及ぼすと言われています。SASを伴う脳卒中患者とSASを伴わない脳卒中患者の回復経過を比較した研究では、SASを伴う群は伴わない群に比べて1年後の死亡率が高かったと報告されています。また、日常生活動作(ADL)の評価においても退院時・退院3ヶ月後・退院12ヶ月後いずれのタイミングでも、SASを伴う患者さんの方がADLの評価が低かったと報告されています(※2)。
※1 Yaggi HK, et al: N Engl J Med 2005; 353(19): 2034-2041.
※2 Good DC, et al: Stroke 1996; 27(2): 252-259.