[睡眠時無呼吸症候群が招く合併症] 睡眠時無呼吸症候群の治療で生活習慣病も改善?
高血圧も、不整脈も、糖尿病も、まずは睡眠中の呼吸の改善から
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には様々な生活習慣病が合併しますが、SASを適切に治療することで合併症の改善が認められたデータが報告されています。
高血圧の改善
夜も昼も、1日を通じて血圧が安定
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧を合併している場合、本来であれば血圧が下がるはずの睡眠中に、無呼吸に伴って血圧が上昇する(ミッドナイトサージ)ケースや、早朝高血圧が見られることがありますが、CPAPによるSAS治療で夜間から早朝、日中にわたるまで降圧効果が示されています。
下のグラフは、適切な陽圧でCPAP治療した群と有効圧に満たない低圧で治療した偽CPAP治療群とで血圧の日内変動を比較したものです。
偽CPAP治療群では血圧がベースラインとほぼ同様な推移を示していますが、CPAP治療群では明らかな降圧効果が認められました。
心房細動の改善
治療後の再発率が低下
心房細動にはカテーテルアブレーションと呼ばれる治療が行われることがありますが、心房細動と睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併している場合、アブレーション治療後に心房細動を再発するリスクがより高いことが報告されています。しかし、SASを合併していても、CPAPによる治療を受けていた場合にはそのリスクを低減できることが示されています。
- ※カテーテルアブレーション:心房細動を起こす引き金になっている肺静脈を、カテーテルを用いて電気的に焼灼する治療法
下のグラフは、SASを合併していない群(SAS非合併群)と、SASを合併していてCPAP治療を行った群(SAS合併・CPAP治療群)、SASを合併していてCPAP治療を行わなかった群(SAS合併・非CPAP治療群)との間で、アブレーション後の経過を比較したものです。
SASを合併している群では合併していない群よりも再発の確率は高くなりますが、それでもCPAP治療によって再発の確率が観察開始当初から有意に抑えられていることがわかります。
糖尿病の改善
わずか2日で改善が見られたケースも
糖尿病にもCPAP治療による影響が見られます。
下のグラフは、CPAP治療によるインスリン感受性の変化を示したものです。CPAP治療を開始して2日後、インスリン感受性の有意な上昇が認められました。さらにこの改善効果は3ヶ月後も維持されていたことが報告されています。
治療開始わずか2日でインスリン感受性が改善したのは、睡眠中の無呼吸状態を適切にコントロールすることで、夜間の交感神経活性が抑制されたためと考えられます。
- ※インスリン感受性:血液中のインスリンの濃度に相応の血糖降下が見られず血糖が下がりにくい状態が「インスリン感受性の低下(=インスリン抵抗性の増加)」です。インスリン感受性の改善は糖尿病を適切にコントロールする上で重要な指標になります。
高血圧?不整脈?糖尿病?睡眠時無呼吸症候群との合併症は大丈夫?
睡眠時無呼吸症候群の検査・治療には健康保険が適用されます
自宅での検査もあります
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