睡眠時無呼吸症候群(SAS)がもっとよくわかる話


睡眠時無呼吸症候群(SAS)
のいびきと、
そのほかのいびきの話
目次
いびきにも種類があるってご存じですか?
いびきとは、寝ているときに何らかの理由で狭くなった気道に空気が通ることで生じる振動音のことですが、いびきにも種類があることをご存じですか?
いびきには、一時的なものと、寝ているときにいつもみられるものがあります。
普段はいびきをかかない人が、疲れたときやお酒を飲んだとき、風邪を引いて扁桃腺がはれたときなど、一時的にかく「いびき」を「散発性のいびき」といい、健康上の問題にならない「いびき」です。
寝ているときにいつもかくいびきを「習慣性いびき」といい、気道の狭さや睡眠への影響の程度によって、「単純いびき」、「上気道抵抗症候群※1に伴ういびき」、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)※2に伴ういびき」に分けられます1)。
「単純いびき」は、気道が狭くなっているために起こりますが、睡眠中に目覚めることはほとんどなく、睡眠の質の低下がみられない「いびき」です
1)。一方、「上気道抵抗症候群に伴ういびき」の場合は、気道の狭さによるいびきだけでなく、呼吸がしにくくなることにより夜中に覚醒してしまい、睡眠の質が低下します1)。そして、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびき」の場合は、さらに気道が狭くなり、呼吸が何度も止まってしまうことがあることから、睡眠の質の低下に加えて、血液中の酸素不足もみられます1)。
まずは、自分のいびきが睡眠の質の低下を疑うものでないか、いびきの種類を知ることが大切です。
※1
無呼吸はみられないものの、気道が狭くなり呼吸がしにくくなることにより、夜中に何度も覚醒してしまう病気。悪化すると睡眠時無呼吸症候群(SAS)に至るため、その前段階の病態ともいわれます1,2)。
※2
睡眠中に無呼吸状態が繰り返される病気。「10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上ある状態」と定義されています2)。
こんないびきの方は検査を受けてみましょう
いびきは体質や遺伝によるものとあきらめて放置している方もいらっしゃいますが、夜中にたびたび目覚めてしまうほどのいびきは、病気である睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑うサインかもしれません。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠の質を低下させるだけではなく、生活習慣病の発症リスクや脳卒中などの合併症が隠れている恐れのある病気です。
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびき」には、いくつかの特徴があります。周りの人が起きるような大きないびきをかいていると言われたり、夜中に自分のいびきや息苦しさで目が覚めたりしていませんか?夜中にいびきや呼吸が止まっていると指摘されたことがある方も、いらっしゃるかもしれません。
自分自身ではどんないびきをかいているのか、気づきにくいものですので、ご家族やパートナーにも話を聞いてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびきの特徴
- 周りの人が起きるような大きないびき
- 夜中に、自分のいびきや息苦しさで目覚める
- 時々いびきが止まり、その後あえぐような呼吸になり、いびきや呼吸が再開する
日中に、強い眠気や倦怠感を感じる、集中力が低下する
朝起きたときに、疲れがとれていない、頭痛がする など
このような人は、要注意
このようないびきがあり、さらに、日中の強い眠気や倦怠感などを感じている方は、治療が必要かもしれません。いびきの検査や治療を行っている睡眠/いびきの専門外来や耳鼻咽喉科を受診しましょう。それら医療機関への受診が難しい場合は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
睡眠の質の低下は日中の活動にも影響する可能性があります。睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われるいびきや症状がある場合には、早めに検査を受け対処することが大切です。
本サイトでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査と治療ができる全国の病院・クリニックをご案内しています。
引用文献
1)中田誠一: 日本臨牀 2013; 71(5): 517-521.
2)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン 2020, 南江堂, 2020; 2-3,33.