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専門医がお答えします!いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)のよくある質問

いびきとSASに関する様々な疑問を、SAS治療の専門医が解説します。

SASにまつわる不安やなぜ?を一緒に解決しましょう!

久留米大学学長
久留米大学医学部 神経精神医学講座
名誉教授
内村 直尚

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何ですか?

一晩(7時間)の睡眠中に30回以上の無呼吸(10秒以上の気流停止)があった場合を、SASと定義しています。
起きている状態で10秒くらい息を止めてみても別に大したことないと思われるかも知れませんが、重症なSASの場合には無呼吸が60秒以上続くケースも見られます。このような状況が寝ている間に起きているため自覚しにくいことが、SASの怖さです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満が原因ですか?肥満以外の原因もありますか?

睡眠時無呼吸の原因は、大きく分けて2つあります。
①睡眠中に上気道が物理的に狭くなる閉塞性タイプ
②睡眠中に呼吸中枢の異常が生じる中枢性タイプ
ほとんどの場合は上記①に該当すると考えられています。肥満体の人は①になりやすいですが、その他にも首が短くて太い人や顎が小さい人(小顎症)も、無呼吸が起こりやすい構造になっています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は子どもでもなりますか?

子どもでもなります。
扁桃肥大やアデノイド、アレルギー性鼻炎など耳鼻咽喉科に関係する病気が原因になっていることが多くみられます。成長期である小児のSASを未治療のまま放置すると、成長ホルモンの低下や昼間の眠気・集中力低下による学力低下、性格変化などにもつながると言われています
子どもは自ら症状を訴えないことも多いため、周りの大人が症状に注意することが重要です。

*千葉伸太郎: 呼吸器内科 2015; 28(3): 228-233.

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は女性でもなりますか?

女性でもなります。
男性に比べれば罹患率は低く、男女比は2~3:1程度ですが、肥満や喉・顎の骨格的な形状が発症に関与することは男性と同様です。
特に、更年期以降には女性の罹患率が高まり、閉経後では閉経前と比較して発症率が2~4倍になるとも報告されています。閉経によるホルモンバランスの変化がSASの発症に関与すると考えられています。

*井上雄一, ほか: 睡眠呼吸障害Update2011, ライフサイエンス, 2011; 54.

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は遺伝しますか?

SASそのものは遺伝するものではありません。
ただ、SASの発症には喉・顎まわりの形状や骨格、体型が関係しています。
親子間では骨格や体型が似る傾向があるため、その意味では親がSASの場合、子どももそのリスクが高まると考えられます。

睡眠時無呼吸(いびきがすごい)と指摘されたが、自覚症状がなく、治療の必要性を感じないのですが、大丈夫ですか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんの中には自覚症状がなく、未治療の方が多くいらっしゃいます。睡眠時無呼吸は様々な合併症を引き起こしたり、居眠り運転など自動車事故の発症率が一般の方に比べ約2.6倍高くなることが報告されています。いびきを放置したままにすると大きなリスクとなる可能性がありますので、一度、医師に相談してみることをお薦めします。

*Findley LJ, et al: Am Rev Respir Dis 1988; 138(2): 337-340.

寝ている間に呼吸が止まると、命に関わりませんか?

睡眠中の無呼吸が命に関わる直接の原因となることはありません。
ただ、身体には相当の負担がかかります。
無呼吸そのものよりも、無呼吸によって生じる身体への様々な影響が実は深刻です。無呼吸によって脳が起きた状態(覚醒反応)になるため、熟睡が妨げられ眠りが浅くなるほか、様々な合併症のリスクも高まると言われています

*睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; 48-55.

飲酒や睡眠薬と睡眠時無呼吸は関係ありますか?

お酒を飲むと舌や気道周りの筋肉がゆるみます。さらに仰向けで寝ると、舌やまわりの組織が喉に落ち込み、気道が塞がれ無呼吸の原因になります。
また、睡眠薬の中には無呼吸をさらに悪化させる作用があるものもあります。服用は医師とよく相談することが大切です。

睡眠時無呼吸を悪化させるものはありますか?

肥満を要因とする睡眠時無呼吸の場合、肥満が進行することで悪化するケースがあります。また、飲酒や睡眠薬も悪化の要因となるケースがあります。

昼間、眠くてたまりません。睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑うべきですか?

寝ている間の無呼吸は、睡眠の質を悪化させる原因になります。深い睡眠を得られないことが、結果として「昼間眠くなる」、「寝たつもりでも寝た気がしない」、という症状として現れます。
ただ、睡眠の量的な問題などであれば、睡眠環境の改善や別の病気を疑う必要もありますので、一度、医師に相談することをお薦めします。

寝不足でも昼間眠くなりますが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因の眠気かどうか、どう見分けたら良いですか?

まず、そもそもの睡眠時間が足りているか、が重要です。
最近は短時間睡眠の方も多いようですが、少なくても6時間程度の睡眠時間を確保し、熟眠しやすい環境を整えてみましょう。それでもなお眠気を日常的に感じるなら、単純な寝不足ではなく何らかの睡眠障害を疑う必要があるでしょう。
寝ている間のいびきや無呼吸があればSASの可能性は高まりますが、睡眠に関する病気はSASだけではありません。安易にご自身で判断せず、専門の医療機関で詳しい検査を受けることが大切です。

寝相が悪いことと、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は関係ありますか?

睡眠中の無呼吸により身体が息苦しさを感じると、体位を変えようと寝相が悪くなることがあります。
ただ、寝ている間に起き上がって歩き出したり、手足をバタバタさせたりするなど激しい動きがある場合には、別の病気を疑う必要も出てきます。一度、医師に相談することをお薦めします。

中年になり、今までよりも早い時間に目覚めたり、夜中に起きてしまうようになりました。睡眠時無呼吸症候群(SAS)と関係がありますか?

中年以降になるとホルモンバランスの変化により、早い時刻に覚醒したり睡眠が浅くなったり、中途覚醒に悩む方が増えます。それ自体は年齢を重ねる上での自然な変化です。
ただし、「呼吸が乱れて息苦しくて目が覚める」または「お手洗いのために起きる」ことが多く、さらにいびきをかくような場合には、SASも考慮に入れる必要があるでしょう。

睡眠時無呼吸は予防できますか?

これさえしておけば、という予防法はなかなか難しいですが、適正体重の維持(オーバーしている人は減量)は必須です。気道まわりに脂肪がつくと無呼吸が生じやすくなります。ほかに、習慣的な寝酒を控える、横向きで寝られる工夫をすることなども良いでしょう。
ただし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症には気道や顎まわりの骨格など、形態的な特徴も関係しています。必ずしも全てのケースで予防ができるわけではありません。
重症化するまで放っておかず、軽症なうちから適切な治療を行うことが大切です。

睡眠時無呼吸かどうか、自分でチェックする方法はありますか?

本サイト上に、6つの項目で睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクをチェックする「セルフチェック」をご紹介しています。
ただし、あくまでセルフチェックですので、気になる症状がある場合には医師にご相談いただくことをお薦めします。

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