睡眠時無呼吸症候群(SAS)がもっとよくわかる話
睡眠時無呼吸症候群(SAS)といびきの治療の話
目次
いびきの治療
鼻づまりがある場合には、その原因となる鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎などの鼻疾患の治療が優先されます。鼻疾患はいびきの原因になりますので、その治療によって、いびきの改善も期待できます。
鼻づまりがないにもかかわらず、習慣的にいびきをかき、寝ている間の換気量低下(呼吸量が減ること)や覚醒反応(身体は眠っていても脳が起きた状態になってしまうこと)がみられる場合には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に伴ういびきが疑われます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法※
大きないびき、止まるいびき、再開後のあえぐような呼吸を特徴とする睡眠時無呼吸症候群(SAS)
は、空気が通る気道が狭くなることにより、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。そのため、主に気道を広げる治療が行われます。
代表的な治療法として、「CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)」、「マウスピース」、「外科的手術」
があります。「CPAP療法」と「マウスピース」は症状を緩和させるための治療(対症療法)、「外科的手術」は気道を狭めている部分を手術で取り除く治療(根治療法)です。
患者さんの睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度や原因などに応じて、患者さんそれぞれに最適な治療法が選択されます。
気道を狭める原因のひとつには肥満があります。これらの治療と並行して、減量など生活習慣の改善も重要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、長期にわたる治療が必要となります。
さまざまな治療法のなかから、最適な治療法を選択するためには、医師と十分に話し合うことが大切です。疑問に思うこと、不安なことなどがあれば、医師や医療スタッフに相談しましょう。
※ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、空気が通る気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)タイプと、呼吸中枢の異常により無呼吸が生じる中枢性睡眠時無呼吸(CSA)タイプに分けられます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者さんの9割程度をOSAが占めることから、ここではOSAの治療法についてご紹介します。
中等度から重度な症状に適したCPAP療法
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)は、寝ている間の無呼吸を防ぐため、鼻に装着したマスクから気道へ空気を送り込み、気道を広げる治療法です。CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する有効な治療法と位置づけられ、日中の眠気が強い患者さんや中等症以上の患者さんに幅広く推奨されています1)。治療の効果を充分に得るためには正しくマスクを装着すること、継続して使用することが重要です。マスクがあわない、空気の圧力に慣れず眠りにくいなどの症状を感じることもあります。マスクを装着し直したり、マスクの種類や空気の圧力設定を変更したりすることで、症状の改善が期待できますので、気になること、不安や困ったことがあれば、我慢したり、自己判断で治療を中止したりせず、医師や医療スタッフに相談しましょう。
なお、CPAP療法は一般的に健康保険の適用になり、CPAP装置は医療機関からレンタルすることになります。
軽症な症状に適したマウスピース
いびきや無呼吸の発生を防ぐため、マウスピースによる治療が行われることがあります。寝るときにマウスピースを上あごと下あごに装着し、下あごを上あごより前に出すよう固定することです。気道を広げる治療法で、スリープスプリントとも呼ばれます。
マウスピースを装着するだけの手軽な治療法で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状が比較的軽い患者さんやCPAP療法を行うのが難しい患者さんに推奨されています1,2)。唾液過多または減少、歯やあごの違和感、嚙み合わせが悪くなるなどの症状がでる場合もあります。マウスピースの調整によって改善が期待できますので、歯科医師や医療スタッフに相談しましょう。
なお、医師により睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合には、マウスピースによる治療に健康保険が適用される場合があります。
詳細および健康保険の適用の可否は、歯科医師にご確認ください。
気道を塞ぐ部位を処置する外科的手術
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の外科的手術にはいくつか種類があり、気道閉塞部を取り除くことで睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善が見込める患者さん、CPAP装置やマウスピースが使用できない患者さんが対象になります1)。
小児の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、原因がアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大※であることが多く、このような患者さんでは気道を塞いでいるアデノイドや口蓋扁桃を切除する手術が有効な場合があります。
また、一部の成人患者さんでは、口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋(のどちんこの周囲)の一部を切除する手術[口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)]が行われたり3)、あごや顔面の形態が気道を狭める原因と考えられる場合には上あごや下あごを広げる手術が行われたりすることもあります1,3)。
医師と相談の上で、治療選択をすることが大切です。
※ アデノイドは鼻の奥、のどとの間、口蓋扁桃はのどの奥の両側にあるリンパ組織であり、これらが異常に肥大した状態。
引用文献
1)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会 編: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020, 南江堂, 2020; 42-46, 60-62,
74-75.
2)日本睡眠歯科学会:
閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(2017年改訂版)https://jadsm.jp/iryo/guideline_pdf/guideline_2017.pdf(2024/11/5閲覧)
3)村田朗.
日医大医会誌. 2007; 3: 96-101.